はじめに
リモートワーク中心の勤務形態となったことにより大分へ帰ることになり、ある程度実用的なクルマが必要になったため、大阪で約1年乗ったホンダS660を手放し、実用的な普通車を購入することにしました。
当初はセダンやコンパクトカーを購入する予定だったのですが、いろんなクルマを見ているうちに目移りしてしまい、気が付くとまた2シーターのスポーツカーを購入していました。
ジャガーのスポーツカーへのこだわり
ジャガーがモータースポーツにかける熱意は相当なもので、以前はル・マン24時間耐久レースにおいてイタリアのフェラーリやマセラティ、ドイツのメルセデス・ベンツやポルシェなどのライバルを圧倒しており、その勢いは2,000年代初頭まで継続していました。
また、市販スポーツカー分野においても、1961年のジュネーブショーにて発表された「Eタイプ」という伝説的なスポーツカーを世に送り出しており、レーシングカーのDタイプを彷彿とさせる空力に優れた流麗なデザインと卓越した動力性能を兼ね備えていたため、世界的な大ヒットモデルとなっており、この分野においても他を圧倒していました。
その「Eタイプ」の正統な後継車として50年以上の時を経て、2011年に「Fタイプ」が世に送り出されました。
エンジンについて
心臓部のエンジンは、排気量 5,000(4,999)cc のフォード製V8エンジンをベースに、ジャガーが独自に直噴化や高回転化等のチューニングを施した「AJ-V8 Gen III」エンジンで、これにイートン社製の過給機(スーパーチャージャー)を組み合わせることにより、405kW (550ps)、680Nm(69kgm) のスーパースポーツ並みのパフォーマンスを発揮します。
このエンジンは非常に完成度が高く、スーパーチャージャーの効果もあり、2,500 - 5,500rpm の幅広い回転数において超ワイドトルクバンドな特性を持っており、その鬼のようなトルク特性はサーキット走行はもとより通常の市街地走行でも存分に発揮され、トルクに物を言わせたイージードライブが可能でありながら、その気になれば 7,000rpm 回転近くまでパワー感を伴いつつスムーズに吹けあがる不思議な特性のエンジンとなっています。
性能的には申し分ないのですが、個人的に少し残念な点として、AJ-V8 は市販(量産)エンジンがベースなのでシリンダーブロックがアルミ合金ダイキャスト製オープンデッキ(サイアミーズ構造)を採用している事です。
古い考えかもしれませんが、ハイパフォーマンスなスポーツカーのエンジンはクローズドデッキ+鍛造クランクシャフト+ナトリウム封入バルブの3点セットが定番みたいなイメージがあるもので・・・
マフラーも F-Type 専用にイタリアのスポーツバイクメーカーの ドゥカティ(DUCATI) にマフラーを供給するサプライヤーと共同開発しており、アメ車のV8エンジンベースとは思えないくらい甲高いイタリア車のようなエキゾーストノート(排気音)を奏でます。それでいてアクセルオフした際は「バリバリ」とWRカーのような力強いバックファイアも楽しむ事ができます。
トランスミッションについて
V8エンジン搭載のRクーペは、トルコン式のオートマチックトランスミッションのみとなり、BMW車でもおなじみの 8速 の ZF社製 8HP70 が搭載されており、公式情報によると許容トルクは 700Nm との事です。
このトランスミッションは 25パターン のシフトマップを持っており、1速以外はロックアップクラッチをつないだまま変速することで、ダイレクト感でこそ DCT にはやや劣るものの、DCT に匹敵する電光石火の変速スピードを実現しています。
ギアレシオはV8、V6モデル共に共通となりますが、エンジン特性に合わせてファイナルギアが変更されており、V6が 3.15 に対し、V8が 2.56 とややロングな設定になっています。
気のせいか、以前乗っていた BMW(Fxx) と同じトランスミッション※を採用しているはずなのに、F-Type の変速スピードの方が速く感じます。
この特性(性能)であれば、トルコンATでもスポーツカーのトランスミッションとして申し分ないモノになっていると思います。
※正確には、以前乗っていたBMW車は 8HP50 で F-Type は 8HP70
シャシーについて
この強力なエンジンと高性能なトランスミッションを支えるシャシーにもジャガー社独自のオールアルミボディが採用されており、一般的にスチールより軽量なアルミを採用することで、F-Type のホワイトボディ重量は 261Kg となっています。これは ポルシェ911(250kg) や同じオールアルミボディを採用する 旧NSX(210kg) と比較するとそれほど軽量な部類ではありませんが、F-Type はオープンボディを前提に設計されている点や車体サイズが2車と比べて大柄なことを考慮すると十分に軽量な部類に入ります。
また、ジャガー社はアルミニウム素材にもこだわっており、衝突安全の要となる主要骨格部分には AC300合金 を、ボディ外板には AC600合金 をそれぞれ専用に開発しており、欧州ではこのアルミニウム素材に対し「アワード」を受賞しています。
これらの素材で構成されたボディパーツを構造用接着剤とリベットを駆使し組み上げることで、高負荷走行においてもビクともしない岩のようなボディ剛性を持つ強靭なシャシーを実現しています。※強靭すぎてその他パーツへの負荷が心配になるレベル。
サスペンションについて
サスペンション形式についてはスポーツカーとしてはド定番の4輪ダブルウィッシュボーン式となり、V8モデルの場合は減衰力をリアルタイムで制御するハイテクなサスペンション(アダプティブ・ダイナミクス・システム)が採用されたことにより乗り心地とスポーツ走行における路面追随性を高次元で実現しています。
路面追随性を高めるもう一つの工夫として、V8モデルにおいては電子制御式デファレンシャルである ADC(アクティブ・デファレンシャル) が採用されており、従来のシステムのように空転を検知してから動作するのではなく、アクセル開度、ステアリング舵角、車速や横G等の情報を総合的に判断しつつ、どのような走行状態においても安定性をキープすべくプロアクティブな制御を行うことが特徴となっています。
オーナーとしての感想
[良い点]
・とにかくカッコイイ!
※自身の考えるFR車(フロントエンジン・リアドライブ車)の理想的なスタイリング
・エキゾーストノート(排気音)がめっちゃいい音!
※ハッキリ言って近所迷惑です。スミマセンm(__)m
・あり得ないくらい速い!
※高速道路でも市街地でもアクセルを少し開けるだけでも怒涛の加速
[悪い点]
・フロントノーズが長すぎて車両感覚をつかみにくい、また車幅が2m近いのでドアパンチを喰らいやすく駐車場では注意が必要
・ボディがガチガチ過ぎて路面の凹凸で車体全体がせわしなく揺さぶられる
・ナビがショボい、タッチパネルの感度や作動範囲がイマイチ
・内装の滑り止め塗装(プロテイン塗装)がベッタベタ
・ヘッドライトカバーのハードコートの耐久性に難があり、劣化してマイクロクラックだらけになる
まとめ
個人的にはこのクルマを所有しとても満足しています。
しかし、気になる点も多々あるため万人にはおすすめできませんが、眺めてニヤニヤするコレクション要素や走りを楽しむスポーツカーとしての性能は超一流で、同じ価格帯のクルマでこいつのトータルバランスを超えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。
以上、長編モノになりましたが特に印象に残った点をまとめてみました。
↑↑↑
当ブログはランキングに参加しております。
皆様のクリックが励みになりますので、どうぞ宜しくお願いします。
コメント